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5ページの間の沈黙に捧げる

ふと、まばたきをするくらいの間隔で、
自分の中のビットレートが変化するような小さな歪みがあることに気づく。
イヤホンで音楽を聴いて移動していると、
ときどきまるで伸びきったカセットテープで聞く音源のようで
音程までぐにゃっとしていつも聴いていた曲が違って聞こえてくる。
もしかしたらずっと前から、時間はこうやって、現実に、
感情などと連動してダイナミックに伸び縮みしていたのかもしれない。


今日、やっとゲーテを読んでみることにしたのです。
もちろん、その偉大で超有名な人の名前や引用などは目にしていたけど、
私は本を読むスピードがほんとーに遅いので、気に入った本でもそうなんども読めないから
絶好のタイミングで読むぞと決めていたのでした。

そして、今すごく今すぐに読みたいという気持ちになった勢いままに
その足で、【若きウェルテルの悩み】のちっちゃい文庫本を買ってきた。
(ファウストは次のお楽しみ。はやく読みたいなー)
だけど、5ページも読まないうちに、自分の言葉が無視できないくらいにうるさくなる。
素敵な本って、本の中の言葉が呼び水になって、私から話したいことが次々にうまれてしまう。
まるで忘れていた言葉を思い出したような感覚に、
ここ最近の私はちゃんと話せていたのだろうかと不安になるくらい。

潔癖でだらしないっぽいことを言うなら、多くの場合、
もう、そうやって生まれてくる言葉以外口にしたくない気分だったのです。


なぜ彼女は自分の志が低いということを、大きな声でなんどもわざわざ言うのだろう。
実際にそんなことはないから、その言葉は嘘になるというのに。
そうすることでずっと世の中は生きやすくなるだろうか?
「意識高い」という言葉が、近頃からかいの意味で使われるのが
いつもどうしても受け入れられなくて、その度に彼女の真意について思い巡らす。

なぜ彼女は「彼がいないと自分はひとりでは何もできない人間だからもう終わりだ」
というようなことを泣きながら訴えるのだろう。
間抜けな私は反射的に「それは思い込みだ」と言ってしまって、
しまった、と思ったらもう言葉は発射されていて、電話越しの声がしんとなる。
私という人間は、人の相談というものに本当に向かないのだな、と申し訳ない気持ちになる。

全ては思い込みで構わないというのに、共感の前に言葉を発してしまうのは、
時々それを忘れてしまうくらい自分の脳が拒絶している時などだ。
優しくなるにはまだまだ辛抱が足りなくて、いけないネ。


雨の日の、薄暗い沈黙の中にすっぽり包まれたような夕方の時間や、
自分の体温だけで目覚める、しんとした冷たい空気の朝のような、
あの退屈で、どこまでも自分の内側に自由を再発見するような時間を、
私が、他のどんな瞬間よりも愛しているってことを、
誤解せずにそのまんま理解してくれる人とじゃないと、
まだ、どこから話せばいいかわからなくなってしまう。

思い返せば、君は、私のもっていないものばかりを持っていたね
なりっぱなしの電話、つけっぱなしのテレビ、乗らない車、
たくさんの溢れかえった使いかけの化粧品や整髪剤や調味料の瓶
寂しがり屋で肥満な猫、暇つぶしに買ったtokyo walker、
誤解を恐れずに言葉にすると、人間の人間としての経験は全て無意味の様に思える。
たぶん、ぜったい、誤解されるけど。

やっぱり5ページ読んでいる間に現れてきた言葉を
ひとつずつ順番に書き出しているうちに、結局いくつかはこぼれてしまうのがとっても残念。
ゲーテの書いた、感動する時はあまりにもすばらしくて手も足もでない、
という感覚に、たぶんこの気持ちはよく似ている。

うーん、今日はもうおしまいっw


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