土と内臓

2年前に購入したのだけど途中で挫折していた、
このブログのタイトルなっている名前の本を、
最近急に思いついて読み出したら意外にも捗って一気に読み切ることができた。

アウトドア用のヘッドライトをつけて暗くした部屋のベッドで
ゴロゴロしながら読むという新しい読書スタイルが自分に合っていたことも幸いした。
他の人が通りかかったら吹き出しそうな滑稽な姿かもしれないけど
控えめに言って最高のライフハックを得たとみんなに教えたいくらいなんだけどね。


私が小さなベランダで野菜を育て始めたのは
自分で作った野菜を食べたいからではなく、この本に書かれているように
微生物を呼び込むための実験場を設けたかったからだ。

野菜が育つための土いじりとコンポストを小さく始めてまず思ったのは
この取り組みは思った以上に骨が折れるということ
体力的にしんどいというわけではないけど
なんといっても時間がかかる。

多分規模を大きくして、
近隣のこともあまり気にしなくて良い広い庭持ちか
田舎住まいだったらたくさんの微生物や虫や鳥や動物が手伝ってくれて
その時間も短縮することができただろうけど
東京の、さらには周りには土も虫もいない小さなプランターの中の世界では
地道な手間と忍耐力が必要になってくるのだった。
ここでは虫よりももっと小さな小さな目に見えない存在だけが唯一の協力者だ。

ふとここまで書いていて思ったけど
それは人間も同じかもしれないね。
いくら生活を変えて制限をかけて健康になろうと思っても
閉じた状態ではよいものを新しく取り込むことは難しいのかも。
閉じるなら時間をかけて忍耐強く育むか
逆なら大きな広がりをもった世界に飛び出して多くのものに触れるか
なんにしても健康とはカオスを作ることが第一歩なのだということが今ならわかる。



立ち上げたてのコンポスト はモクモクと湯気を出しながら
一気に50℃くらいまで温度が上昇して
ほとんどの微生物たちは一部を除き死滅する
そして滅菌された土が冷め始めるころには
もう一度多種多様な微生物たちが餌を求めて舞い戻ってきて
土の中で命が爆発し始めるのだそうだ。


野菜の切れ端や皮をコンポストに埋めてかき混ぜてしばらくすると
白くて薄いネットに包まれるように
表面がほわほわになっているのを肉眼でも確認できる。
そしてその種の菌を待っていた私はなんだか愛おしい気持ちになる。

遠くからやってきたお客さんにはるばるようこそって歓迎したくて
あれこれやりたくなるけどそれもぐっと堪えて
少しの水と、バランスを崩さない程度の油分やタンパク質加えて
またじっと辛抱強く分解されていくのを待つのだ。

有機物の循環とそのスピードに気がつくと、
私はこれまで何か大きな思い違いをしてきたような気がする。

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